『手相の科学』永鳥眞雄

永鳥眞雄『手相の科学』

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手の線は、単に手を曲げ伸ばしすることでできるシワに過ぎない——。そう考える人々に、30年以上にわたる手相研究の大家・永鳥眞雄氏が、その膨大な知識と経験をもって「否」を突きつける一冊、それが本書『手相の科学』である。これは、神秘のヴェールに包まれた旧来の占いとは一線を画し、手相を「経験科学」として捉え直し、その驚くべき真実に迫ろうとする、知的な探求の書である。

 


 

常識への反論 – なぜ赤子の手にも線があるのか?

 

著者はまず、手相否定論者がしばしば持ち出す「手の線は開閉運動によってできる」という説に、鋭く反論する。その根拠として、以下の二つの「事実」を提示する。

  1. 日常的に手を酷使する労働者や手工芸従事者の手には、むしろ線が少ない傾向がある。
  2. 知的労働者や、手をあまり使わない人の手にこそ、鮮明な線が多く見られる。
  3. そして何より、生まれて間もない赤子の手にも、多くの明瞭な線がすでに存在している

これらの事実は、手の線が単なる物理的な作用の結果ではないことを明確に示していると、著者は力説する。


 

科学者たちも認めた、手と脳・体質の深いつながり

 

さらに著者は、手相が単なる俗信ではないことを裏付けるために、医学界・科学界の権威たちの言葉を引用する。

  • 英国の医師クエン氏(解剖学):「これらの線は…(中略)…胎児の手にも現れているからである」と述べ、線の起源が開閉運動以外にあることを示唆。
  • クルクシャン博士:「これらの主線並びにその他の諸線は、機能と体質に相互関係を有してある…(中略)…或る種の智的発達の系統をも指示する」と述べ、手の線と身体機能、体質、さらには知能の発達との間に緊密な関係があることを主張。

これらの科学的知見は、手相が、その人の体質、生命力、知能といった**「あらゆる部門の機能を、鋭敏に象徴している」**という著者の確信を、力強く裏付けている。


 

30年の情熱が凝縮された「日本人に適合した手相学」

 

著者は、15歳で手相に目覚めて以来、30年以上にわたり国内外で研究を重ね、諸大家の教えを乞い、無数の実地鑑定を行ってきた。本書は、その長年の努力の結晶であり、西洋の手相術をも深く研究した上で、**「日本人に適合した手相学」**を体系化しようとした、壮大な試みの記録でもある。

『手相の科学』は、手相を厳密な科学とは言えないまでも、**「経験科学」であり「実際科学」**であると断言する。それは、古今にわたる事実を観察し、帰納的に導き出された哲学なのだ。

この一冊を読めば、あなたの手のひらに刻まれた線が、単なるシワではなく、あなた自身の生命と精神の深淵を映し出す、驚くべき「科学」であることが理解できるだろう。

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