『自分の手相』槇玉淑

槇玉淑『自分の手相』

「宿命」という言葉に縛られ、自分の人生を諦めてはいませんか？——40年以上にわたり運命学を研究してきた大家・槇玉淑氏による『自分の手相』は、そんな受け身の姿勢に、温かくも力強い「ノー」を突きつける一冊です。本書は、変えられない運命を告げる「宿命学」とは一線を画し、自らの力で未来を切り拓くための「相学」としての手相術を、特に新しい時代を歩み始めた女性たちに向けて、優しく、そして深く説き明かします。

手相は“生きている” – あなたの人生そのものを映す鏡

本書の核心をなすのは、「手相はまさにあなたとピタリ歩調を合わせ“生きている”」という、シンプルでありながら深遠な真実です。

著者は、生年月日や血液型といった多くの人と共通する要素で判断する占いとは異なり、この世に二つとない「あなただけの手相」こそが、真実のあなたを映し出す唯一の鏡だと説きます。そして、その鏡は固定されたものではありません。あなたの心の状態や体のコンディション、そして人生の歩みに合わせて、新たな線を刻み、伸びる方向を変え、刻々と変化し続けるのです。このダイナミックな視点こそが、手相を単なる「占い」から、自分自身と対話し、成長を確認するための「生きたツール」へと昇華させます。

新しい時代の女性たちへ贈る、「自分研究」のすすめ

戦後、男女平等がうたわれ、女性の生き方が大きく変わった時代。夫を自分の運命として受け入れるしかなかった多くの女性たちが、自らの足で人生を歩み始めた——。元教師でもある著者は、そんな時代の転換点に立つ女性たちに、温かいエールを送ります。

「自分の人生を真に自分のものとして生きるための道標として、『自分の手相』はきっと役立つはずです」。本書は、迷った時に「じっと手をみて生きる道を求めてきた」先人たちの知恵を、現代の女性が自らの決断で悔いのない人生を選ぶための**「自分研究の資料」**として活用する方法を、具体的かつ優しく教えてくれます。

「宿命」ではなく、「相」で未来を切り拓く

本書が他の多くの占い本と一線を画す、最も重要な哲学。それは、「宿命」と「相」の違いにあります。著者は、「宿命を主体にした運命学は、真の問題解決にはなりません」と断言します。なぜなら、手相を中心とした「相学」は、直接私たちの身体に結びついた占術であり、**「自らの力で運命を避けたり、変えたりすることも可能」**だからです。

『自分の手相』は、あなたの未来を予言して一喜一憂させるための本ではありません。あなたの手のひらに秘められた可能性を最大限に引き出し、あなたにとっての最高の幸せとは何かを見つけ出し、そしてそれを自らの手で掴み取るための、最も信頼できるパートナーとなる一冊なのです。