『現代の手相術』小林三剛

小林三剛『現代の手相術』

科学万能の現代にあっても、複雑で常に変化し続ける「人間の運命」を解き明かすことは至難の業です。しかし、私たちの身体そのものに、その運命の青写真が刻まれているとしたら——。易学の大家・加藤大岳師に師事し、後進の指導にも尽力してきた小林三剛氏による『現代の手相術』は、手相を単なる線占いではなく、その人の全てを映し出す「運命の履歴書」として読み解く、本格的な一冊です。

なぜ手相は、運命を語るのか

本書はまず、手相学が他の運命学と一線を画す、その独自性を力説します。手相は、人相と共に、**“その本人の身体にしるされた運命の履歴書”であり、“報告書”であり、“未来の透視図”**である、と。なぜなら、手は風にそよぐ木の葉とは違い、私たちの頭脳と精神の動向によって動く、その人自身のシンボルだからです。数千年の伝統と無数の実験の上に成り立つこの学問は、一個人の思いつきやこじつけとは無縁の、具体的な運命予知の術なのです。

本書の核心 – 「線」だけ見ていては、何もわからない

多くの人が「手相＝手の筋（線）を見ること」と考えがちですが、著者はその考えに明確な「否」を突きつけます。真の手相鑑定とは、

• 手の形
• 指の形
• 掌の盛り上がった丘
• 爪
• 指紋

などを**「総合的に見る」**ことによってのみ、初めて正確な判断が可能になるのだと。本書は、この総合的な鑑定法を、読者が独りで判断できるよう、できる限り具体的に、そして丁寧に解説することを目指しています。線の意味だけを追いかけるのではなく、手のひら全体から発せられる多角的な情報を読み解く方法を、体系的に学ぶことができるのです。

運命を知り、未来を拓くための「知恵」

本書を手に取り、自らの手を深く見つめることで、あなたはきっと、これまで気づかなかった自分自身の運命、体質、健康状態、そして長所や短所を発見するでしょう。しかし、本書の目的は、単にそれを知ることに留まりません。

最も重要なのは、その知識を基に**「みずからの運命にどのように対処したらよいか、その知恵を身につける」**こと。本書は、そのための具体的な指針を与えてくれる、人生の良き伴侶であり、頼れるパイロットとなることを目指しています。

易学に基づいた確かな知識と、後進を育成してきた指導者ならではの分かりやすい解説。もしあなたが、表面的な占いに満足できず、より深く、より本質的に自分自身と運命を理解したいと願うなら、この一冊は、そのための最高の入門書となるに違いありません。