銭天牛『西洋手相術』
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占いは信じない。トマトがうまいかまずいかのように、好みの問題でしかない——。そう考える人にこそ、本書『西洋手相術』は、知的な驚きと発見をもたらしてくれるかもしれない。なぜなら、占いを否定することはできても、**「誰も自分の手の存在を否定することはできない」**からだ。銭天牛氏による本書は、カンや経験といった曖昧さを排し、明確な原理・原則に基づいて手のひらを読み解く、極めて論理的な一冊である。
東洋流との違い – 平易で、確実で、誰にでもわかる
本書が案内するのは、古代からヨーロッパで体系化されてきた「西洋手相術」の世界だ。著者は、東洋流がカンや経験を重視し、素人には難解な側面があるのに対し、西洋流は**「はっきりとした原理・原則と、分類の精密さ」**によって、誰にでも学びやすいという特徴を持つと説く。
手のひらの様々なふくらみ(丘)を神話の神々や天上の星と結びつけ、そこに刻まれた線を論理的に解明していく。そのアプローチは、神秘的な予言というよりも、むしろ個人の性質や運命の傾向を分析する、一種の自己分析メソッドに近い。原理・原則さえ掴んでしまえば、楽しみながら自分の運命を読み解けるようになる。これこそが、西洋手相術が持つ最大の魅力なのだ。
あなたの手は、あなただけの物語を語る
本書は、手相を見る上で最も基本的な疑問、「左右どちらの手を見るべきか」にも明確な答えを与えてくれる。
- 左手は「神から与えられた運」:生まれ持った資質や、変えられない宿命を示す。
- 右手は「自分で築く運」:自らの意志と努力によって、後天的に切り拓いていく運命を示す。
この明快な分類により、私たちは自分の人生を、与えられたもの(左手)と、これから創り上げていくもの(右手)という二つの側面から、立体的に理解することができるようになる。神の暗示を知りたいときは左手を、自らの可能性を探りたいときは右手を。手のひらを、ただ眺めるだけのものから、人生の戦略を立てるための「羅針盤」へと変えてくれるのだ。
人生という航海のための、確かな地図
『西洋手相術』は、占い好きと占い嫌いの間に存在する溝を埋める、架け橋のような一冊だ。手のひらには、脳髄に記憶が刻まれるのと同じように、その人が歩んできた人生が、そしてこれから歩むであろう道のりが、正直に反映されている。
この本を読み終えたとき、あなたは手のひらを、単なる身体の一部としてではなく、これからの素晴らしい人生を航海するための、最も信頼できるパートナーとして見つめているに違いない。
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