浅野八郎『手相がわかる』
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「手は外部に出た、もうひとつの脳である」——哲学者カントがそう看破したように、私たちの手のひらに刻まれた無数の線は、単なる偶然のしわではない。それは、自分でも気がつかない、もうひとりのあなた自身を映し出す、神秘の鏡なのだ。心理学者・浅野八郎氏による『手相がわかる』は、この古くて新しい人間学の扉を開き、読者を深遠なる自己発見の旅へと誘う、知的興奮に満ちた一冊である。
3000年の歴史が証明する、運命探求の叡智
本書はまず、手相術が持つ圧倒的な歴史の深みへと私たちをいざなう。そのルーツは3000~5000年前の古代インドに遡り、古代ギリシャではプラトンやアリストテレスといった哲学者たちが著作を残した。日本では江戸時代の観相家・水野南北が「運は食なり」という開運法にまで昇華させた。
著者は、これらの歴史的事実を丹念に紐解くことで、手相が単なる俗信ではなく、人類が長きにわたり育んできた、人間理解のための壮大な知の体系であることを明らかにする。
科学のメスが解き明かす、手と脳の秘密
本書が他の入門書と一線を画すのは、その歴史的背景に加え、最新の科学的知見をもって手相を捉え直している点にある。
フランスの心理学者ゴークランが「手は性格を物語る」という論文を発表し、医学界では手相と身体の関係が研究され、さらにはコンピューターによるパターン認識も進んでいる——。著者は、これらの客観的な事実を提示することで、手相が21世紀の新しい「人間学」として、今まさに科学的に解明されつつあるエキサイティングな分野であることを教えてくれる。
「もうひとりの自分」を発見する旅へ
生年月日や星座で占う他の多くの占いと違い、手相は「この世に自分と同じものはふたつとない」、究極のパーソナル情報である。だからこそ、その信頼性は高く、興味は尽きない。
本書を読めば、運に恵まれないと諦めている人にも、意外なチャンスが見えてくるかもしれない。自分でも気づかなかった才能や、心の奥底で本当に望んでいることが、手のひらにはっきりと示されているからだ。
『手相がわかる』は、未来を予言して一喜一憂するための本ではない。それは、科学と歴史の光に照らされた鏡を覗き込み、そこに映る「もうひとりの自分」と対話し、より豊かな人生を自らの手で切り拓くための、最高のガイドブックなのである。
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