『見たいことが見える手相』浅野八郎

浅野八郎『見たいことが見える手相』

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経済が揺らぎ、価値観が大きく変わる時代のなかで、私たちは何を頼りに自分を知り、他者と向き合えばよいのだろうか。心理学者・浅野八郎氏による『見たいことが見える手相』は、この根源的な問いに対し、「手のひら」という最も身近なテキストを読み解くことで答えを見出す、画期的な一冊である。本書は、単なる占いの手引書ではなく、科学者アインシュタインが「いつか新しい人間学になるかもしれない」と述べたという、手相術の深遠な可能性を探る知的な旅への招待状だ。


 

常識を覆す、手相の意外なルーツ

 

私たちは手相を東洋古来の占いと考えがちだ。しかし著者は、その常識に鋭く切り込む。「生命線」や「頭脳線」といった馴染み深い言葉が、実は明治時代末期に英語の「Life Line」「Head Line」を和訳したものであることを解き明かし、現代日本の手相術がいかに西洋の体系に影響を受けているかを明らかにする。

この知的好奇心を刺激する導入は、本書が単なる俗信の紹介ではなく、歴史的背景まで踏まえた客観的な視点で手相を捉え直そうとする、真摯な探求の書であることを示している。ラスコー洞窟の壁に残された無数の手形や、聖書の一節を引くまでもなく、人間が「手」に抱いてきた普遍的な関心こそが、この学問の礎なのだ。


 

「自分」と「相手」を知るための知恵

 

「知っているようで、よくわかっていないのが『自分』であり、つき合えばつき合うほどわかりにくくなるのが『相手』です」。著者のこの言葉に、多くの人が頷くのではないだろうか。本書の最大の目的は、未来を当てること以上に、この最も難解な二つの存在を理解するための「知恵」を提供することにある。

手のひらに刻まれた線や形は、その人の思考パターン、感情の動き、そして隠された才能を映し出す。本書をガイドに自分の手を読み解くことは、客観的な自己分析であり、自分でも気づかなかった可能性の再発見につながる。同様に、相手の手を理解することは、表面的な言葉の裏にある、その人の本質に触れるための鍵となるだろう。


 

自分を再発見し、未来をひらく

 

浅野八郎氏が提唱する手相術は、変化の時代を生き抜くための新しい羅針盤だ。大昔の人々が育んできた人間理解の技術を、現代的な視点で見直し、私たちの実生活に役立つツールとして再構築してくれている。

目の前の不安に立ち止まるのではなく、自らの手のひらに刻まれた壮大な物語を読み解いてみよう。この一冊は、あなた自身を再発見し、目の前の人の心を深く理解し、そしてより幸福な未来を自らの手でつくり出していくための、確かな勇気と知恵を与えてくれるに違いない。

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