陳希夷『神相全編正義』
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数多ある人相術の源流を遡る時、必ず行き着く不朽の古典がある。それが、明代に成立したとされる観相学の集大成、『神相全編』だ。そして、この深遠なる原典を現代の我々が読み解くための、最も信頼に足る羅針盤となるのが『神相全編正義』である。本書は単なる翻訳書ではない。難解な古典の真意(正義)を明らかにし、その奥に流れる哲学と実践技術を余すところなく伝えようとする、本格的な研究解説書である。
観相学の「百科事典」を読み解く
『神相全編』が観相学のバイブルと称される所以は、その圧倒的な網羅性にある。顔の各パーツ(五官、三停、十二宮)の意味はもちろんのこと、声、骨格、姿勢、気色(顔色)、さらには手の相や足の相に至るまで、人間を形成するあらゆる要素からその人の気質、才能、そして生涯の運勢を読み解こうと試みる。それはまさに、観相学の「百科事典」と呼ぶにふさわしい。
しかし、漢文で記された原典は、現代人にとってはあまりにも難解で、比喩的な表現も多い。そこで『神相全編正義』が真価を発揮する。本書は、原文の一つひとつを丁寧に解き明かし、その背景にある陰陽五行思想や中国哲学を紐解きながら、なぜそのような解釈が成り立つのかを論理的に解説してくれる。これにより、読者は単なる暗記ではなく、観相学という学問の体系的な理解へと導かれるのだ。
「正義」が明らかにする、人間洞察の神髄
本書の「正義」というタイトルは、単なる「正しい意味」を示すだけでなく、この古典が持つ人間洞察の神髄に迫ろうとする気概の表れでもある。特に、顔を人生の各領域に対応させた「十二宮(命宮、財帛宮、兄弟宮など)」の概念は、人の運命を立体的に読み解く上で欠かせない。本書は、これらの宮が持つ意味を現代的な視点も交えながら解説し、読者が自らの人生のテーマや課題を発見する手助けをしてくれる。
また、『神相全編』が重視するのは、静的なパーツの形だけではない。その時々で変化する「気色」を観察し、運気の流れを読むという動的な側面だ。本書は、この難解な気色診断についても、その原理から実践方法までを丁寧に解説しており、単なる性格診断に終わらない、観相学の奥深さを伝えている。
占術の探求者、必携の一冊
『神相全編正義』は、手軽に占いの結果だけを知りたいという読者向けの本ではない。観相学という学問の源流に触れ、その深遠な世界を本格的に探求したいと願う、すべての学習者、研究者、そしてプロの鑑定家にとって必携の一冊である。
なぜ人は顔にその人生が現れるのか。運命とは何か。この壮大な問いに対する、古人の叡智が凝縮された『神相全編』。その核心に触れるための、これ以上ないほどの導き手となるのが本書だ。ページをめくるごとに、単なる占いの技術を超えた、東洋哲学の壮大な人間観に圧倒されるに違いない。
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