浅野八郎『手相学大鑑』
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科学万能の現代にあっても、我々は「自分を知りたい、未来を知りたい」という根源的な渇望から逃れることはできない。その尽きせぬ探求心に応えるべく、心理学者・浅野八郎氏が30年の歳月と1万5千もの手型研究の末に世に問うたのが、この『手相学大鑑』である。本書は、古来の占いの枠を超え、心理学、医学、人類学、東洋哲学の叡智を結集し、手相を「総合的な人間学」として再構築しようと試みた、壮大な一冊である。
占いの復権 – 第二のルネッサンスを目指して
著者は、手相を単なる当て物や街角の易断としてではなく、ルネッサンス期に隆盛したように、人間性を再発見するための「日の目を見る学問」として捉え直す。心理学の泰斗ユングが晩年にオカルト研究への情熱を語ったように、浅野氏もまた、人間の心の不可思議さを解き明かす鍵が、これまで正統とはされてこなかった分野にあると考えた。
顔が意識的に取り繕えるのに対し、「手」にはその人の本質がストレートに現れる。本書は、その手に刻まれた情報を科学的・実証的に分析することで、自分の中にさえいる「わからない自分」を理解するための、信頼に足るヒントを与えてくれる。これは、長い歴史を生き延びてきた素朴な人間学が、現代にふさわしい新しい光を浴びる瞬間を告げる試みでもある。
浅野式手相術 – 30年の研究が生んだ48の類型
本書の神髄は、第2章で詳説される独自の「浅野式手相術」にある。これは、著者が1万5千もの実例を分析する中で帰納的に編み出した、極めて体系的な鑑定法だ。生命線、頭脳線、感情線という3本の主要な線の組み合わせから、手相を48のタイプに類型化。それぞれのタイプ別に、性格、適職、結婚運、金運などを、豊富なイラストと共に具体的に解説していく。
この類型化により、読者は自分の手相がどのカテゴリーに属するのかを客観的に把握し、自らの設計図を深く理解することができる。これは、曖昧な印象論に陥りがちな従来の手相術とは一線を画す、論理的で再現性の高いアプローチである。
さらに本書は、線の成り立ちを発生学や遺伝学の観点から考察し、指紋や爪の形から性格を読み解く方法、そして最も重要な「手相を変え、運命を変える方法」にまで言及する。単なる分析に終わらず、より良い未来を主体的に築くためのアドバイスまで網羅しているのだ。
自らの謎を探求する、すべての人へ
『手相学大鑑』は、単に手相の知識を深めたい人だけのものではない。人間という存在の不思議さ、その心の奥深さに魅了される、すべての人に向けられた「人間探求の書」である。
浅野八郎氏の30年にわたる研究のすべてが込められた本書は、占いを新しい人間学として見直されるべきだという強い信念に貫かれている。自分の、そして他者の手のひらを通して、その人の本質を深く理解したいと願うなら、これほど知的興奮に満ちた一冊はないだろう。
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