『新しい手相研究』大和田斉眼

大和田斉眼『新しい手相研究』

私たちの手は、単なる労働や表現の道具ではない。無格好な手、しなやかな手、肉感的な手——その形や質感は、持ち主の職業や気質を雄弁に物語る。しかし、大和田斉眼氏による『新しい手相研究』は、その表面的な観察からさらに深く踏み込み、手のひらに刻まれた線が、顔（人相）と同じく、いや、時にはそれ以上に、個人の運命の真実を映し出す鏡であることを解き明かす一冊である。

手相と人相は必ず一致する – 補完し合う運命のサイン

本書がまず提示するのは、手相と人相の関係性についての明確な視点だ。西洋では「顔は性格、手は運命」と区別されがちだが、著者は「手相と人相は必ず一致する」と断言する。なぜなら、どちらも同一人物の性質や運命が、異なる部位に現れたものに他ならないからだ。この理解に基づけば、手相で判断しにくい点を人相で補い、あるいはその逆によって、より確信を持った鑑定が可能になると著者は説く。顔が表情や言葉で本心を隠せても、手は無言のうちに真実を語る。その正確さこそが、手相の持つ大きな利点なのだ。

鑑定の鍵 – 「男性的手相」と「女性的手相」の新視点

本書が特に重要視し、従来の鑑定の謎を解く鍵として提示するのが、**「男性的手相」と「女性的手相」**の区別である。顔つきに男女の違いがあるように、手にも性別による典型的な特徴があり、その人の性別にふさわしい手相を持っているかどうかが、運命を読み解く上で決定的な意味を持つという。

例えば、男性にとって大成功を示す「天下筋」も、女性の手にあれば、性格が強すぎて男性的な役割（女主人など）を担う境遇を示唆することがある。この**「男女の性別を考慮に入れる新しい見方」**こそ、これまで解釈に迷った多くの手相の謎を解き明かし、鑑定の精度を飛躍的に高める秘訣だと著者は確信している。

手相は変わる – 変化を捉える客観的な方法

さらに本書は、「手相は変わるのか？」という根源的な問いにも明確に答える。生命線などの根幹は動かないものの、支線や末端、細かな線は、生活や健康状態の変化に応じて、現れたり消えたり、長短を変えたりするという。しかもその変化は、数ヶ月単位ではなく、人生の大きな変化と並行して短期間で起こりうる。

著者は、この変化を客観的に捉える方法として、定期的に**「掌紋（しょうもん）」**、すなわち手のひらのプリントを取ることを推奨する。インクや朱肉、あるいは指紋検出用のパウダーを用いて採取した掌紋を比較することで、「どの線がどう変わったか」が一目瞭然となり、「手相は変わる」という事実を自ら実証できるのだ。

『新しい手相研究』は、単なる線の意味を解説する入門書ではない。手相と人相の関連性、男女の相の違い、そして変化する線という、より深く、よりダイナミックな視点から、運命の真実に迫ろうとする、すべての探求者のための書である。