『手相の正しい見方』佐藤六龍

佐藤六龍『手相の正しい見方』

「働けど働けどなお我が暮らし楽にならざり じっと手を見る」。歌人・石川啄木がそう詠んだように、人は物事がうまくいかない時、おもむろに自らの手のひらを見つめてしまうものです。この、最も身近にありながら神秘に満ちた「手」に刻まれた運命の符号を、誰にでもわかるように解き明かそうとするのが、佐藤六龍氏による不朽の名著『手相の正しい見方』です。

神が与えた「運命の符号」を読む

著者は、手相を「神が人の手に置かれた符号もしくは印章」であると説きます。手のひらに現れる線や色は、その人の過去・現在・未来を映し出し、良いチャンスも、痛恨の失敗も、すべてがそこに記されているのです。

本書の目的は、この神聖な「運命の符号」を、素直に、そして謙虚に読み解き、自らの「よき運」を掴みとるための術を授けることにあります。それは、単なる未来予測に留まらない、人生をより良く生きるための積極的な知恵なのです。

「己を知り、敵を知る」究極の処世術

本書が他の手相書と一線を画すのは、手相を「処世術」として明確に位置づけている点にあります。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という孫子の兵法のごとく、手相を応用することで、「己のすべてを知り、そして相手を知りつくす事が出来る」と著者は断言します。

自分の才能や弱点は何か。目の前の相手は、どのような性質を持っているのか。この厳しい社会で成功と開運を求める上で、これほど手軽で、かつ強力な武器はありません。人間関係やビジネスの駆け引きにおいて、相手の本質を見抜くための洞察力を、本書は与えてくれるのです。

比類なき「分かりやすさ」への自負

「今までに書かれた如何なる運命学書よりも、易しく、しかも納得のいくように記したつもりであり、またその点を著者は自負する次第であります」。この著者の力強い言葉通り、本書は難解な専門用語を避け、誰にでも理解できるよう、丁寧に、そして論理的に手相の「正しい見方」を解説しています。

もしあなたが、自分の運命の舵を自らの手で握りたいと願うなら、この一冊は、そのための最も信頼できる海図となるでしょう。手のひらに刻まれた神の符号を読み解き、人生という戦いを百戦百勝に導くための、究極の指南書がここにあります。