久保田競『脳力を手で伸ばす』
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蛇口をひねれば湯が出て、スイッチ一つでご飯が炊ける。この便利で文化的な生活と引き換えに、私たちは何を失ったのか——。大脳生理学の権威・久保田競氏による『脳力を手で伸ばす』は、この根源的な問いに対し、「手を使わないことは、脳を使わないことなのです」という、衝撃的かつ科学的な答えを突きつける一冊である。
あなたは「雑巾」を、正しくしぼれますか?
著者は、現代生活の便利さが、いかに私たちから「手を使う」機会を奪ってきたかを、克明に描き出す。強力な洗剤、半加工食品、掃除機。それらの恩恵を受ける一方で、私たちはかつて当たり前だった手の技術を失いつつある。
- 濡れた布の両端を持ち、逆方向に力強くひねって水を切る「雑巾しぼり」。
- 米粒同士をこすり合わせるように、リズミカルに手を動かす「米研ぎ」。
著者は、こうした何気ない日常の動作にこそ、脳を活性化させる複雑な指令と、代々受け継がれてきた「手の生活文化」が宿っていたと説く。手作業が下手になり、手の力が弱くなったと感じるなら、それは脳の力が十分に引き出されていないサインなのかもしれない。
「手は外部の脳である」 – 科学が示す真実
本書の核心は、「手を使うことは、脳の発達をうながす」という、大脳生理学に基づいた明快な事実にある。人間の手が歩行から解放され、道具を創り、ものを創造してきたからこそ、大脳は発達してきた。手の筋肉を動かすとき、私たちは必ず脳を使っている。つまり、手を使うことこそが、脳の秘められたパワーを引き出す最強のトレーニングなのだ。
著者はこの原則に基づき、子供から大人、そして老人まで、あらゆる世代の脳をパワーアップさせるための具体的な方法を、科学的知見をもって優しく解説していく。
全世代に贈る、脳力向上のための実践書
『脳力を手で伸ばす』は、単なる懐古主義や精神論ではない。脳科学の専門家が、私たちの人生をより豊かにするために書き下ろした、極めて実践的なガイドブックである。
- 子どもの脳を発達させる、おもちゃの与え方と教育法
- 大人の創造性を高める、手の使い方
- そして、老人ボケを防ぐための、日々の習慣
この本を読めば、失われつつある「手の文化」を取り戻すことが、いかに私たちの知的生命にとって重要であるかが痛感されるだろう。あなたの能力を最大限に引き出す鍵は、遠いどこかにあるのではなく、あなた自身の「手」の中にこそあるのだ。
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